DAY DREAM BEAT
最近、僕がハマっていることがひとつある。
今まで読んでこなかった漫画を読むことである。
流行り物を毛嫌いしてきたが故に当たり前にみんなが読んでいる漫画を読んでなかったとふと思い立った。
そんなこんなで先日、「SLAM DUNK」を読み終わった。名作と謳われているだけあってそれはもうめちゃくちゃ面白かった。主人公たちがライバルと、時に仲間と鎬を削り合いながらバスケットボールに夢中になっていく様はかっこよかった。
今までこの漫画を読まずにいた理由の一つに自分とは正反対の物語であると思っていたということがある。スラムダンクといえばジャンプの黄金期を支えた漫画の一つであるが、ジャンプのテーマである「友情」、「努力」、「勝利」とは無縁の人生を送ってきた。
僕の学生時代は、主人公桜木花道とは正反対とも思える生き方だった。「美化されまくったヤンキー 漫画じゃ描かれなかった迷惑かけられた側」だった学園生活。 要は、スクールカーストの上の方では決してなく、それでも上位層には負けまいとしているような。虎視眈々と反逆心だけはこさえているような。そんな語るに及ばない生徒Aだった。
僕にとってそんなに誇れるものじゃなっかたような中高の学校生活を「青春」と呼べる代物に昇華させてくれた音楽がある。そんなバンドである『ハンブレッダーズ』について今回は話したい。(毎回本題に入るまでの前振り長くね?)
DAY DREAM BEAT
ハンブレッダーズ「DAY DREAM BEAT」Music Video
この曲を聞かなかったら僕はこのブログを書かなかっただろうという曲がこの「DAY DREAM BEAT」だ。大学に入ってから知ったバンドだったのだが、この曲を一度聞いてから心が熱く震えたことを今も覚えている。
全フレーズ引用したいぐらいトキメキであふれている曲。この曲は今までの「青春」の概念をぶち壊す、それほどまでに革新的な歌だと思う。
この曲を聞くと自分の生きてきた日々もそれはそれで「青春」だったんだなと肯定できる。
ラスサビでは
ひとり 登下校中 ヘッドフォンの中に夢中
唇だけで歌う 自分の歌だとハッキリわかったんだ
と綴られる歌詞。まさしく「自分の歌だとハッキリわかった」瞬間がたくさんある。部活に打ち込むことが「青春」と呼ばれるように、ケンカに明け暮れることが「青春」と呼ばれるように、僕が曲に夢中になれたこともまた「青春」だったんだなと思えた。
この曲に限らずハンブレッダーズの歌は僕みたいな人間を肯定してくれる。教室の隅っこの同じ目線で歌ってくれるように思えるのだ。
ユースレスマシン
そんな彼らは今年の初めにメジャーデビューを果たした。その時のアルバムのリード曲がこの「ユースレスマシン」である。
音楽を含む「娯楽」に対して「なくたっていいもの」であると同時に「かけがえのないもの」であるという尊い矛盾を提示し、それでも、その「娯楽」で世界を変えてやるという彼らの意思と覚悟を感じる一曲になっている。
見る人から見るとたかが娯楽。それでも僕らにとってはされど娯楽である。
表紙で買ったレコードが素晴らしかったんだ
ベスト盤には入ってないあの曲が好きなんだ
わかりやすいモノだけが答えじゃないから
僕らはまだ笑えんだ
僕はこの歌詞が大好きだ。
無料で何でも手に入れられることが本当に幸せなのか。便利になり過ぎることが本当に幸せなのか。不自由な中で音楽を楽しんでいたあの時を、彼らは肯定してくれる。
このフレーズに限らずこの曲では全編を通して趣味に熱中した日々を肯定してくれている。
それが「この先の人生に必要がないもの」だったとしても。「心の奥がざらつくような一瞬」をくれるから。
終わりに
ハンブレッダーズは教室の隅っこの僕に青い春を教えてくれた。
ライブハウスで見る彼らはそんな隅っこの光のまま輝いていた。ここにくれば青春をまだ取り戻せると本気で思わせてくれた。ヘッドフォンの外の宇宙で大きな音を浴びれる日を僕はいつまでも待ち望んでいる。